ノゴーンベキ、ノコル早期登場!一体だれ?ダバ、バータル、カイ、ムフンバト、ボロルマー、ウラマー、ガイ、ピス、ボム…
VIVANT の小説ノベライズ本・上巻が2023年8月30日に発売されました。
予約でベストセラーランキングに入ってたんでしょ
大人気です。そのVIVANT上巻を読みましたので、今日はその感想をネタバレで簡単にまとめていきます。
「下」巻のネタバレはこちらです
VIVANT は、福澤克雄氏が監督、原作・演出を担当する日曜日のドラマシリーズです。このシリーズのノベライズ版は、独自のストーリーを持つ本格的なミステリー小説として展開されています。
VIVANT には、堺雅人氏が中心となって出演し、多くのファンに支持されています。TVerのお気に入り登録も163.5万人を超えました。
VIVANT上巻の概要
まず『日曜劇場VIVANT(上)』概要の説明です。
発行日 | 2023年9月10日 初版第1刷発行 |
原作 | 福澤克雄 |
ノベライズ | 蒔田陽平 |
発行者 | 小池英彦 |
発行所 | 株式会社扶桑社 |
企画協力 | 株式会社TBSテレビ 株式会社TBSグロウディア |
定価 | 1100円 |
発行所になっている扶桑社はフジテレビ系列の出版社です
え? TBSの番組なのに? なにかあやしい…
VIVANT上巻は、プロローグのあと、5つの章で構成されます。テレビで言うと第5話までです。各章がテレビ番組でいう話数に該当しています。
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※ご本人曰く『頭いいポーズ』だそうです#VIVANTノベライズ本 大ヒット!#VIVANT #生ドラム
本日よるは #VIVANT祭り 見逃すな! pic.twitter.com/VcTnoeXJd1
感想:ノベライズ版とテレビ番組版の違い
「小説化にあたり内容には若干の変更と創作が加えられておりますことをご了承ください」とノベライズ版には記されています。
ノベライズ版とテレビ版に違いがあるっていうことね
では、私の感想を書いていきます
プロローグ(p.005-010)
乃木卓は裏切りにあう p.008
ノベライズ本のプロローグでは、男(乃木卓)の悲惨な過去の出来事が語られます。
プロローグの段階で早くも乃木の父親の卓がどのように裏切られたのか、簡単な描写があります。裏切りはヘリコプターの彼方にあったようです。(008ページ)
8ページ目で? はやっ
物語の背後に隠された緊張感を引き出しています。これは読者に対する刺激的な挑戦とも言えるでしょう。
第1章(p.011-117)
Fの存在が早くから明確!p.011
011ページでの段階で「F」が登場します。
11ページ目で? はやっ!
登場と言っても、幼い頃の「F」ではなく、砂漠で言い争う二人を描写するのに、ここで「F」という主語が明確になるということです。
ここでの彼の存在が明確化されたのは、読者の混乱を避けるためか、もしくは単純に乃木の精神のダイナミクスを強調するためでしょうか。
本なので、名前を伏せて「乃木の隣には、もう一人の乃木が…」って書くと相当ややこしいので、早い段階から「F」と書いたのかもしれません。
結果的に、わかりやすく物語の複雑さと深みを増す要素として機能しています。
視覚的伏線が見えない、見えにくい p.020
テレビとの最大の違いの一つは、映像的・視覚的な伏線の欠如です。
この「VIVANT」という作品の場合、ビジュアルの力を借りずに、物語の伏線を張ることの難しさをノベライズ版は感じさせています。本全体に言えることですが、テレビではないので映像がなく、ビジュアル的な伏線が見えない、あるいは見えにくい、ということです。
たとえば、020ページには、第1話の、アリの机の下にカバンの書類を落としてばらまいてしまい、それを拾う描写があるのですが、テレビと違って、さりげなく机の下でごそごそしているシーンを盛り込むことができていません。
そのために、データを盗む部分についても映像がないために、そこにある伏線が読者にはわからないので、考察の楽しみが減っているかもしれません。
ここに限らず、あちこちに張られたビジュアルの伏線やヒントが本では見えないのです。少し、残念にも思います。逆に言うと、ほのめかしが少ないので、すっきり読めます。
神頼みを始めたのは… p.038
Fの存在が明確にわかるために、より驚きが強くなる箇所があります。
p.038 砂丘で乃木にFが文句を言い続けていた場面があります。
でも、乃木はその窮地から逃れられません。
そんな乃木にFは「おいおいおい、足がもつれてんじゃねぇかよ。大丈夫か、おい」と言いますが、驚くのはそのあとです。
「やがて知りうる限りのすべての神々に救いを求め始めた」のは、なんと乃木ではなく、Fだったんです。Fまでそういう行動に出るほど、もう絶体絶命の状況だったんですね
文章的伏線:アディエルがあやしい p.042
042ページに、アディエルが乃木の目的地をたずねる場面が書かれています。
ここ、実がテレビ版と同じセリフで、同じ場面設定なのですが、文章だからこそ、ハッキリわかることがあります。
「それで、セドルのどこに行くつもりだったんだ?」「ここです」と乃木はスマホのGPS画面を見せる。アディエルの顔が一瞬、曇った」
そう書かれています。テレビを見直すと、たしかに、アディエルの表情がなく沈黙の時間はあるのですが、曇ったかどうか…。そういう意味では、書籍版の方がわかりやすい伏線もある、ということです。
アディエルがあやしい…。
ジャミーンがしゃべっている p.055
ザイールの自爆のあと、病院でのシーンです。
頭から血を流したジャミーンが、柚月薫に気づき、泣きながら抱き着くシーンが描かれています。
そして、すぐに薫から身体を話したあと、ストレッチャーを指さして、こう言います。
「パパ、パパ」
え? ジャミーンって話せるんだったっけ?
瀕死の重傷を負ったアディエルの存在を柚月薫に訴えるために、言葉を振り絞ったのでしょうか。それとも、実はずっと話せないふりをしてきたのでしょうか。ジャミーンもあやしく見えてきます。
ドラムの音声アプリの声が聞こえない p.070
この部分ほんとに大きいと思うのですが、文章で書かれているので(当たり前ですが)ドラムの音声アプリ(林原めぐみさん)の声が聞こえません。
もちろん、音声アプリの声は全部セリフが書かれています。
描写もあります。「まるで体に合っていないアニメの女性キャラのような声」「アニメ声」のような説明もあるのですが、うーん、やっぱり物足りない。
正直、ここは、やはり林原めぐみさんの声が聞きたくなります。ただ、逆に言えば、VIVANTファンには、頭の中で勝手に林原めぐみさんの声は聞こえるんですけどね。
第2章(p.118-191)
バルカ式トイレでの必死さは伝わる? p.084
いっぱいの警察犬から逃れるために、共同トイレに逃げ込むあのシーン。
テレビ映像で観た、あのトイレのシーンのとんでもない迫力は伝わりにくいかもしれません。
ただ、文字は文字で、より強烈に感じる読者もいるかも。「地獄に落ちたような顔で肥溜めに立つ薫…」(084ページ)トイレのシーンの生々しさはビジュアルでの感じ方と異なるかもしれませんが、文字としての明確さはあると感じます。
映像での迫力と文字での生々しさは、それぞれ異なる感じ方をもたらしますが、どちらも読者・視聴者に強い印象を残すことは確かです。
ノコルとノゴーンベキという名前は最初からわかる p.116
116ページ、テレビ番組で言うと1話の最後の部分なのですが、ここにいきなり、ノコルとノゴーンベキという名前が書かれています。
そのため、テレビを見ながら皆が感じ入った、アリの言葉「ノゴーン・ベキ!」という凄まじい印象を感じたり、二宮和也の役名は? といった考察を楽しんだりすることはできないです。
テレビ番組を見た人が、このノベライズを買うと言う意味では、それで良いのかもしれませんが、この本から伏線や役名を想像して待つようなドキドキ感と言うものは無いように思います。
テレビ番組での楽しみの一つ、役者の役名を推測する楽しさは、ノベライズでは失われているように思います。
第3章(p.192-263)
テント・マークがおしゃれな「かっぱ巻き」? p.130
テントマークが小説では130ページで描写されますが、原作と違って、ノベライズ本では「円の中に六角形が描かれている」としか書かれていません。
たしかに六角形といえば六角形なのですが、それだと、ただの数学的図形か、おしゃれな「かっぱ巻き」です。
テレビでのテントマークは、円の中に、六角形があり、その六角形の中央に、六角形の穴があり、その上部に切れ込みがあって、全体は白と黒、みたいな感じなのですが、多分、こういう描写をしてもよくわからないので単純な描写になったのだろうと思います。
テントマークをどこかのページに掲載してくれたら良いのですけど…。なかったと思います。私が見落としていたらごめんなさい。
ただ、「円の中に六角形」という描写だけだと「家紋なのでは?」という考察が難しくなるかもしれません。テレビとノベライズでの描写の違いは、読者がイメージを自分勝手に想像する余地の違いなのかもしれません。
アド砂漠の夜:ドラムが薫を抱いていた!p.189
188ページに、過酷なアド砂漠を死にそうになって過ごす描写があります。
食欲もないのに、必死で食べていたもの…? テレビ版でも映っていましたが、あれは「デーツ」という食べ物です。ノベライズ版では、そう書かれているのでハッキリわかります。
デーツとは、ナツメヤシの果実。おそらく食べていたのは乾燥させたドライフルーツ。栄養価の高いスーパーフードとか。
そして、夜。
夜の過ごし方については、テレビ版ではほとんど映像がなかったのですが、ノベライズ版では極寒の砂漠の夜をどう耐えていたかが、わかります。
極寒の夜…。189ページ。
「寒さに震える薫に、乃木が自分の毛布をかけてやる。ドラムも薫を抱くようにして温める。野崎も毛布がなくなった乃木に寄り添い、温める」
うーん。砂漠の夜はノベライズ版の方が寒そうです。
公安は部下の財布からお金を使う? p.217
成田空港到着後、公安部外事第4課の人々の準備のおかげで、入国審査の長い列に並ばずに入国できる場面があります。
そこで部下らに対して、野崎がお金を出させて、乃木や薫に「お前ら、スッカラカンだろ。持ってけ」と、とりあえずの経済的支援として渡します。
あまりにも普通に進むので、公安部は普段から、こういうやり方で入国者の支援をしているのかな、と一瞬思ってしまうのですが、ノベライズ版では、ここ、明確に「唐突に展開される国家公務員の恐喝案件に乃木と薫はギョッとする」「優しいのか、ひどいのか、よくわからない人だ…」と書かれています。
たしかに。
第4章(p.264-315)
山本巧は太田梨歩に手をつけていない? p.312
「太田梨歩、きれいだもんなぁ、手、つけちゃったか?」
「うん! たーっぷり可愛がってやった!」
テレビ版で山本巧が白状するシーン。なんとも衝撃的で、山本がにこやかで、やな感じなのですが、実はこのシーン、ノベライズ版にはありません。
Fの尋問はテントのことに集中します。
ある意味、こっちの方が話には集中できますし、読みやすいのですが、ただ、後になって(ノベライズ版の下巻で)ブルーウォーカーが別班の人のことがすぐに信じられず、山本の仲間じゃないかと疑い、果物ナイフで死のうとするシーンとのつながりが希薄になるかも…。
おそらくノベライズ版は文字数の関係で、カットしているだけだとは思いますが、上巻の時点では、まだ太田梨歩は、手をつけられていません!?
第5章(p.316-376)
今は乃木?「F」?それが明確にわかる p.38,365
テレビでも、山本を詰問する前に、乃木ではなく、もう一人の人格「F」に代わるシーンがあります。堺雅人が演じ分けています。
ノベライズ版では、そこを文章で「表情が一変していた」「Fは口を開いた」のように「F」がいることが、わりと簡単な説明で語られてしまうので、少しもったいないようにも感じます。
どっちが良いか、けっこう好き嫌いもあるのかもしれませんが…。
第1章にも書きましたが、p.38で、砂漠ですべての神様に救いを求めるシーンがありますが、神頼みをしていたのは乃木ではなく「F」でした。それが小説版ではハッキリ書かれています。
ちなみに、アリを詰問しているのも乃木ではなく「F」ですが、ノベライズ版では、アリはその違和感に明確に気づいています。
p.365-「乃木?」「乃木じゃないのか……?」という表現で明確にアリがいつもと違う乃木の人格に戸惑っていることがわかります。(テレビ版でも演技でわかるんですけどね。文章だとより明確です)
上巻を通して
知らない登場人物がいっぱい!
ノベライズ本には、知らない名前がいっぱい登場します。
新しい役柄が追加されているのではなく、登場する多くの人の名前がわかる、ということです。
たとえば、ダバ、バータル、カイ、ムフンバト、ボロルマー、ウラマー、ガイ、ピス、ボムなどなど…。
あ、ボムは人じゃないです。ボムはチンギスがトイレに連れて入った警察犬の名前です。
警察犬の名前まで書かれているの?
そうなんです。いろいろな人の名前がわかる、というのは意外とそれだけで物語の世界観を豊かにしてくれますよ
まとめ
「VIVANT」上巻は、テレビドラマとノベライズという異なるメディアを通じて、私たちに新しい体験と洞察を提供してくれています。そして、続きを楽しみに待つ私たちに、「VIVANT」下巻が2023年9月に待ち受けているという事実は、更なる興奮を呼び起こします。
この小説の持つ魅力をこれからも追い求め、「VIVANT」の深みにどっぷりと浸かっていきたいものです。
テレビでVIVANT世界に酔った方は、ぜひノベライズ小説版もどうぞ。枕元に置いておくと眠れなくなるかも。
このブログ内には「全セリフ記録集&考察記事」があります。良かったらどうぞ。↓ です。
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