バナナナイフ投げた人が違う?銃が違う?スネイプ社を検索したのは?ノゴーンベキは灯油で死んだ?福澤克雄監督インタビューでは堺雅人、阿部寛、二階堂ふみ、二宮和也、松坂桃李、役所広司、ドラム、そしてラクダの演技評まで!
VIVANT の小説ノベライズ本・下巻が2023年9月21日に発売されました。下巻も読みましたので、その感想をネタバレでまとめていきます。※随時更新していきます。
VIVANT下巻の概要
まず『日曜劇場VIVANT(下)』概要の説明です。
発行日 | 2023年9月30日 初版第1刷発行 |
原作 | 福澤克雄 |
ノベライズ | 蒔田陽平 |
発行者 | 小池英彦 |
発行所 | 株式会社扶桑社 |
企画協力 | 株式会社TBSテレビ 株式会社TBSグロウディア |
定価 | 1100円 |
今回の下巻の特筆すべき点は、福澤克雄監督のインタビューが10ページ2段組みで特別収録されていることです。VIVANTファンには、たまらないのでは
VIVANT下巻は、5つの章で構成されます。テレビで言うと第6話から最終回までです。各章がテレビ番組でいう話数に該当しています。
そのあと、巻末に福澤克雄監督のインタビューが掲載されています。
感想:ノベライズ版とテレビ番組版の違い
下巻もおもしろいですよ。私の感想を書いていきます
いきなりテントマーク(p.003)
上巻の記事を書いたときに、上巻ノベライズ本ではテントマークのことが「円の中に六角形が描かれている」としか書かれていないので、これでは、ただの数学的図形か、おしゃれな「かっぱ巻き」だ、とこのブログで取り上げました。
テントマークをどこかのページに掲載してくれたら…と書いたのですが、下巻ではいきなりテントマークから始まります。
うん、わかりやすい!
本文の描写も「円の中に切れ目の入った六角形」(p.275)などわかりやすくなっています。図があれば一目瞭然。
第6章(p.005-060)
ノゴーン・ベキは一瞬で首を刈る p.010
ギリアムは銀行の担当者と共謀して私腹を肥やしていました。そのギリアムをノゴーン・ベキは許しません。
テレビではお茶の間の視聴者に配慮して、ギリアムの殺害シーンはぼんやりしています。ノベライズ版では、気配なく、さっとベキは断首します。
流し読みをしていたら、一瞬、読み飛ばしてしまいそうな早業です。
これは、読む人にもよると思います。「あっさりした殺害シーンだな」と思う人もいるでしょうし、逆に「なんと冷徹な殺害だろう…」と恐怖を感じる人もいるかもしれません。
さっと首を落としてしまいます。
「F」が乃木の何を知らないか明確 p.019
p.14から、乃木憂助と「F」の会話があります。
テレビ版でも乃木は「F」に自分のことがわかっていない、と言うシーンがありますが、ノベライズ版だと、より明確にそのことがわかります。
そして、そのことに「F」自身も驚いているのが印象的です。
「Fは驚いた。コイツのことはなんでもわかっていると思っていたが、まさかそんな屈折した思いを抱いていたとは…」
二重人格…、すべてお互いのことがわかってるわけじゃないのね?
バナナナイフ、太田梨歩が投げるの? p.053
「乃木さん、訓練したんでしょ、見せてよ」
テレビで話題になったバナナナイフ投げです。
乃木がバナナを投げ、黒須が的中させて、太田が「うわ!すごっ!」って思うシーンですね。
この流れがノベライズ版では違うんです。
乃木が言います。
「黒須」
「はい」
そして、デスクの上に載っていたバナナを太田梨歩が投げます。え? 太田梨歩がバナナを投げるの?
そして、黒須がナイフを乃木の手から奪うと、ナイフを投げ、バナナに的中させます。
え? すごっ!?
え? おかしくない?
乃木さんは何がすごいの? 何の訓練の成果を見せたの?
テレビ版でも実は、そこはちょっと疑問だったんですけど…ノベライズ版ではますます疑問に。
乃木さんは何もしてないよね…黒須&太田のバナナナイフ・ショーになってる
すごいのは黒須さんなんですよね。それに、ノベライズ版では、太田さん、どうしてバナナを投げようと思ったのか?
第7章(p.061-110)
小説・柚月薫は乃木に呆れる p.080
乃木さんが医師・柚月薫を抱きしめる場面
「あの……抱きしめていいですか?」
テレビ版では、ここで「そういうのは訊かずに…」と言うのですが
ノベライズ版では、こう言います。
「はあ?」
結局、乃木に抱きしめられるのですが、そのあと、乃木さんは
「お腹、すいてませんか?」
ノベライズ版では、薫はこう言います。
「はい?」
ま、たしかに。乃木さん、話の流れが…
女ごころがわかってないというか…
ノベライズ版、薫さん、少しずつあちこち強めなんですけどね
第8章(p.111-159)
ノコルの心の内が言語化 p.142
乃木が登場してからの、ノコルの心中は複雑なものだったと思います。
テレビ版では、そのあたりが二宮和也さんの表情や言葉の言い回し、声色などで表現されていましたが、ノベライズ版では明確に言葉で書かれています。
「なぁ、兄弟」と言った後です。
突然、自分の地位を脅かす者が現れたこと。
日本人。
腕も立ち、頭も切れる、
もしベキが自分よりも乃木を可愛がるようになったら…
冷静ではいられません…。
ベキは乃木の侵入意図を第6章で見抜く p.157
孤児院の食堂でうるち米の皿を持ち、米をかすめて輸出して儲けるヤスダの悪だくみを暴く乃木。
しかし、その様子でノゴーン・ベキは、乃木の侵入意図を知ります。
そのベキの考えがすべて書かれています。
重さを手で測る時の誤差を聞いた時です。
「1キロにつき10グラム程度」
その誤差なら、黒須をやれ、と命じ、銃を渡したときに、銃の重さで弾倉の中に弾が何発入っているかがわかる。ということは…
ベキは、こんなに早く乃木の意図、つまり「自分の命があぶない」ことを察知していたのです。ノベライズ版では、ここが文章で説明されるので、より明確です。
第9章(p.160-229)
黒須のひげをそったのは? p.180
p.180 テントの資金調達のために、別班の機密情報が必要になります。
黒須のスマホを使いたいのですが、長く牢屋で拘束されていた黒須の顔はひげのために人相が変わっていて、顔認証がパスしません。
そこで、麻酔薬をかがせ、ひげを剃り、まぶたを開いてテープでとめ、顔認証をパスし、つづいて指紋認証もパスさせます。
テレビでも、ここの流れはわかりますが、ある意味、手際が良すぎて一瞬なんですよね。
ノベライズ版では、じっくり黒須さんの「認証が通るまで」が1ページ読めます。
ちなみに、黒須の牢屋に行ったのはノコル、バトラカ、ピヨ、マタ、乃木。
背後から黒須を取り押さえたのがピヨ、マタ、シチ
最初のスマホ顔認証トライをさせたのは乃木
麻酔薬をかがせたのがマタ
ひげをそったのがマタとシチ
最後に顔認証と指紋認証をさせたのが乃木です。
黒須の顔に、モノマネのコロッケみたいにセロテープをはったのは誰よ!?
そこだけ書かれていないんですよね。機密情報でしょうか…
乃木卓が憂助を捜すシーンが短い p.205
バトラカに救出されてから、乃木卓は、息子・憂助を捜し歩きます。
テレビ版では、かなり長く探しているように私は感じられました。
ここ、大切なシーンだと思うんです。妻・明美の思いであり、残された家族を取り戻そうと努力する乃木卓の必死さ、自分自身の事よりも息子を、というつらさ、切なさ、痛みが伝わる部分です。
ノベライズ版では、映像がないこともあるのでしょうが、205ページの半分くらいで、探し回るシーンが終わります。
「ありとあらゆる人間に日本人の子供を知らないか訪ね歩いた」
…そうですね、訪ね歩いたんでしょうけど、本当はもう少し書いてほしかった。小説版の文字数の関係で割愛されたのかもしれませんね。
第10章(p.230-307)
ノコルの銃が違う p.231
テレビ版とノベライズ版で、ノコルが乃木に黒須をやるように渡した銃が違います。
テレビ版では、グロック17(重さ705g)、持った感じでは705~715gのあいだ。
しかし、
ノベライズ版では、トカレフTT33(860g)、持った感じでは860~870gのあいだ。
銃を変更したのは撮影上の理由でしょうか?
それとも、テレビ版では、ノコルが乃木への嫌がらせで、別の銃を渡した?(笑)
乃木「ノコルの銃はリハーサルではトカレフTT33、860g、持った感じでは860~870gのあいだ。しかし、本番で渡された銃はグロック17。あれ? 銃が違う…銃が違っているので迷いました。弾が入っているのかいないのか、仕方がないので、だいたいで黒須を撃ちました。黒須、すまない…」
乃木さんなら違う銃でも重さ、わかるんじゃない?
チンギスがスナイプ社を検索 p.238
p.238、野崎が、乃木の行動を読もうとするときに「スナイプ社」という言葉にひっかります。
テレビ版では、ハリーポッターのスナイプ先生との連想から二重スパイと気づくのですが、ノベライズ版では、それに先立ち、こう指示しています。
「バルカにスネイプ社なんて企業はあるか?」
チンギスは、すぐにスネイプ社を検索しますが、ヒットしません。
このシーン、撮影しているのかもしれませんね。
ディレクターズカット版には入るのかもしれません。
ノゴーン・ベキはガス爆発?p.304
VIVANT最終回ラストで、乃木が撃ったノゴーン・ベキらを隠すためにテレビ版では、ベキら3人が灯油をかぶって無理心中をした、との方向で口裏合わせをしていきます。
ところが、このラストがノベライズ版では違うんです。
本ではガス爆発による火災です。
テレビは灯油、ノベライズ版はガス。
ひょっとしてテレビのスポンサーにガス会社とかが付いていたのでしょうか。
なぜか最後が違います。
いろいろなスポンサー、ついてたけど、ガス会社はなかったような…
上巻につづき、知らない登場人物だらけ!
ノベライズ本・下巻にも、知らない名前がいっぱい登場します。
たとえば、アルバン、オリバー、グエン、ミラ、レグ、朴念仁などなど…。
あ、朴念仁は人じゃないです。
気になる方はVIVANT下巻・80ページをどうぞ。
福澤克雄監督の特別インタビュー
p.308-317という大ボリュームで、福澤克雄監督の特別インタビューが掲載されています。
内容としては
□今回、なぜ原作なしのオリジナルにしたのか?
□いつ、このストーリーを思いついたのか?
□なぜ脚本をハリウッド的な分業スタイルにしたのか?
□なぜ舞台を砂漠、架空の国にしたのか?
□ラクダにどう演技をさせたのか?
□福澤監督の演技評等(堺雅人・阿部寛・二階堂ふみ・二宮和也・松坂桃李・役所広司・富栄ドラム・ラクダ)
□今後について
まとめ
「VIVANT」下巻は、上巻同様、私たちに新しい体験と考察を提供してくれています。
ぜひ「VIVANT」ロスの方々も、逆に映像世界ではなく、小説として楽しみたい方々も、ノベライズ版、楽しんでみてください。
ちなみに帯封を付けて「VIVANT」上巻は229.5g…
「VIVANT」下巻は199.5g
30g、下巻の方が軽いですが、内容は重いです。
このブログ内には「全セリフ記録集&考察記事」があります。良かったらどうぞ。↓ です。
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