第6話。丹後隼人・乃木少年の前にFが初登場!なぜ鉄琴でG#鍵盤を12回たたいた?Fと丹後・乃木考察「俺はお前と生きたい!」「アメリカへ行こう!」
Fが生まれた瞬間のシーンですね
鉄琴をたたきながら登場するシーン、なんだかすごく印象に残るというか…
F(もう一人の自分=乃木二重人格)が丹後隼人(乃木少年)の前に
「VIVANT」の第6話において、主役・乃木憂助のもう一つの人格、「F」の誕生シーンが放映されました。Fはもう一人の自分。乃木の二重人格とも言えます。
宮津のこども園の回想シーンです。
「F」が鉄琴・ビブラフォンをたたきながら現れます。
乃木少年(当時の名前は「丹後隼人」)が、実際には他人からは見えない、この「F」と対話する場面が続くことで、乃木少年の心の内が浮き彫りとなります。
丹後隼人・乃木少年と「F」の間の深い絆や、「F」の真の意味についての驚愕のシーンです。
F(もう一人の自分=乃木二重人格)出会いを演出する鉄琴の音
「VIVANT」の大きなテーマのひとつは、主人公の内なる声です。それがF(もう一人の自分=乃木二重人格)です。
心の奥深くに潜むもう一人の人格との関係やその秘密が次第に明らかになることです。
この物語は、キャラクターの内面的な葛藤や秘められた真実を、独特のかたちでずっと伝えてきました。謎めいた2人を中心として物語が構築されてきたんです。
そこで、この場面、印象的なのが鉄琴・ビブラフォンの音です。
鉄琴・ビブラフォンは、特定のバーをマレットで叩くことで独特の音を出す楽器です。
このシーンの、この音が本当にいいんですよね…私、もう何回も何回も聴きました
どうして、また?
鉄琴・ビブラフォンの音色はユニークです。軽やかにも明るくも聴こえるし、哀愁や切なさを感じることもできます。力強さもあれば、やわらかさもあります。
この音色が「F」と丹後隼人(乃木少年)の出会いに独特の響きを与えています。
そうかなぁ…気のせいじゃない?
F(もう一人の自分=乃木二重人格)サウジアラビヤ・リヤドで
F(もう一人の自分=乃木二重人格)と乃木の出会いについて、話のはじまりはサウジアラビア・リヤドの一室でした。ゴージャスなソファで乃木がFに話します。
両親の写真を見ながら。写真の裏には1978年6月24日と黒いペンで書かれています。
乃木「怖い、怖いよ」
F「え? 当然だよ、テントの指導者が親父だったんだからな」
乃木「違う、違う。君は本当の僕がわかっていない」
F「何、言ってんだ。お前は俺、俺はお前だろ?」
乃木「違う、違うって何が違うんだよ。人身売買で奴隷にされて虐待されて、記憶もなくなり、運良く飯田さんに日本に連れてきてもらって施設に入れたけど、いじめられて…」
F「何だよ!昔話かよ!」
乃木が何ともいえない顔でFを見る。
F「悪かったよ。続き、どうぞ」
乃木「もう消えてしまおうと思ったとき、君が来た」
ついに「F」誕生について語られます
F(もう一人の自分=乃木二重人格):京都・宮津の丹後つばさ園で
京都府宮津市の丹後つばさ園の回想シーンになります。
暗い音楽室? 講堂?の中。ひざを抱えて涙を流している丹後隼人(乃木少年)の前にある鉄琴・ビブラフォン。
その鍵盤をマレットで打ち鳴らしながら少年「F」が登場します。F(もう一人の自分=乃木二重人格)の登場です。
鳴らしていたのは、鉄琴の上段、3つ並んでいる鍵盤の真ん中。ネットで調べるとG#って書いてましたけど…間違っていたらごめんなさい。12回鳴らします
こん・こん・こん・こん・こん・こん・こん・こん・こん・こん・こん。これが12回。ほんとに12回?
F「寂しいんだろ? 俺がお前のそばにいてやるよ。だから、変なことは考えんなよ。生きるんだよ!俺はお前と生きたい!」
涙が頬につたう乃木隼人(乃木少年)
F「だけど、お前はもっと強くならないとな」
乃木少年「強くって?どうすればいいの?」
F「アメリカに行こう。向こうにはミリタリースクールっていうのがあって本物の銃を使った訓練とか、格闘技とか、戦術を教えてくれるんだよ。そこに入ればめちゃくちゃ強くなれるぞ」
乃木少年「無理だよ、そんなの。金だってない」
F「奨学金とかいうやつをもらえばいいだろう。そのためにはすごーく頑張って勉強してなきゃならないけどな。そっちはお前に任せるわ!」
乃木少年「え?」
考察1:なぜF(もう一人の自分=乃木二重人格)は現れたのか?
乃木憂助の過去の経験から、彼が非常に深刻なストレスやトラウマを抱えていることは明らかです。
人身売買、虐待、記憶喪失、施設でのいじめなど、彼の過去は心の傷だらけです。
一般的に、多重人格(解離性同一性障害)は重度の心的外傷や持続的なストレスに起因することが多いとされています。
私は専門家ではないので詳しくはわかりませんが、自分の心を、もうそれ以上、傷つかないように、そうやって守ろうとするのかもしれないですね。
「F」が現れた理由として考えられるのは、まさに、乃木がこれらの外傷やストレスから自身を守るための防衛手段として、彼の中に新しい人格を形成したことです。Fは乃木の孤独や苦しみを和らげ、彼を守るために存在していると思われます。
考察2:丹後隼人・乃木少年の人柄、性格
丹後隼人(乃木少年)は非常に繊細で敏感な性格の持ち主であると思われます。
そんなデリケートな心の持ち主にとって、これまでの経験はなんと過酷なものだったか…。強靭な心の持ち主でも耐えられない、まさに地獄のようなものでした。
ただ、一方で、そんな絶望の淵にいるのに、F(もう一人の自分=乃木二重人格)との対話から、彼の中に強く生きることへの望みや希望が芽生え始めてきているようにも見えます。
丹後隼人(乃木少年)は、自分の内面に隠れているもう一つの人格「F」と向き合いながらも、自らの過去、そして、自分自身と向き合おうとしていると感じます。
「F」の言葉って力強いもんね
そうですね。でも、その「F」を生み出したのが乃木少年です
考察3:F(もう一人の自分=乃木二重人格)の人柄、性格
F(もう一人の自分=乃木二重人格)は乃木隼人・乃木少年の内面に潜む強さや自己効力感を代表する人格のようでもあり、また、傷ついた彼を守るために存在しているように見受けられます。
丹後隼人(乃木少年)が弱気になったり、絶望的な気持ちになった時、「F」は彼を励まし、前向きな方向へと導いていくのでしょう。今に至るまでの、そういうプロセスが目に見えるようです。
アメリカのミリタリースクールについての大胆な提案は、あらためて、すごいですね。
積極的で前向きな発言をすることから、Fは乃木隼人・乃木少年の中の行動力や挑戦心、意志の強さを象徴していると言えるでしょう。
アメリカのミリタリースクールに行け、ってむちゃくちゃよね
「F」が強いのか、丹後少年が強くなりたい、という気持ちをずっと心の奥底に持っていたのか…
考察4:楽器を鉄琴・ビブラフォンにした福澤監督の意図
ビブラフォンの音色は独特であり、深い響きや振動を持っています。
福澤監督がビブラフォンを選んだ理由として、丹後隼人(乃木少年)の深い内面や彼のトラウマ、そしてF(もう一人の自分=乃木二重人格)との関係性を表現する音色としてふさわしい、と考えたのではないかと考えられます。
鉄琴・ビブラフォンは打楽器の中でも比較的メロディを奏でることのできる楽器です。その音色はやわらかく、時には哀愁を帯びたものとなります。
「F」はメロディーを奏でるわけではありません。単に打ち鳴らすだけです。マレットで短音を。
それでも、ここで、丹後隼人(乃木少年)の内面の痛みや葛藤、感情の機微を視聴者に伝え、感じさせることができるのではないかと思います。
マレットでたたいたのも重要です。
ここで手や、そこらへんの棒でたたいたのでは、あの愛らしい雰囲気にはなりません。マレットでたたくから、このシーンに複雑な表現が生まれたのだと感じます。
たしかに、ここでドラムやピアノ、カスタネット、リコーダーではダメだもんね
ここの楽器選びは難しかったんじゃないかと思います
まとめ
「VIVANT」第6話では、主人公・乃木憂助のもう一つの人格「F」が誕生しました。
F(もう一人の自分=乃木二重人格)の存在って印象的ですね。鉄琴・ビブラフォンを使用した印象的なシーンを通じて、この2つの人格の関係や秘密が視聴者を引き込んでいきます。
そこに登場した、この鉄琴・ビブラフォンという楽器も、偶然ではなく、必然だったと私は思っています。F(もう一人の自分=乃木二重人格)登場の最高演出でした。
ヴィヴァンだもんね。楽器もヴィヴラフォンで
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