空を飛ぶ車でコーヒーを飲みに行く。カナダの実際の光景です。でも危険性を考えたことがありますか? 墜落事故や衝突接触など現実的に考えてみましょう。安全でない乗り物には乗れないのです。
次世代エアモビリティの全容
空飛ぶ車、それは人や物を運ぶことが可能な次世代のエアモビリティです。明確な定義はまだ存在しないものの、「空飛ぶ車」という名前が示す通り、パーソナルな使用が可能な点で、これまでの航空機とは一線を画します。
車を道で走らせて、それが空も飛ぶんじゃないの?
一部のモデルでは実際に地上走行と飛行の両方を可能にしていますが、開発が進んでいる大半の機体は「eVTOL(電動垂直離着陸機)」です。これらの機体は、ヘリコプターのように滑走路を必要とせず、大体1人から数人が乗車可能なデザインが主流となっています。
空だけに重点を置いたモデルですね
さらに、空飛ぶ車の中には、パイロットが操縦するモデルも存在しますが、近年注目を浴びているのは遠隔監視や操作が可能な自動運転モデルです。開発者たちは次第に自動運転機能を高度化し、最終的には完全自動運転を目指しています。
遠隔操作? それってわたしのイメージと違うんだけど…
飛行する高度は、航空法により定められた最低安全高度を考慮し、通常は上空150メートルから数百メートルが想定されています。ただし、試験段階では150メートル未満を飛行するケースも存在します。飛行距離については、現時点では数十キロから100キロ超が目標とされています。
ただ、実はこれまでに空飛ぶ車の事故は起きています
事故ったら怖そう…
空飛ぶ車の墜落事故、カナダで発生
カナダの空飛ぶ車業界で5番目とされる「空飛ぶ車」が、着陸時のトラブルで墜落、操縦士と乗員が軽傷を負いました。事故現場はブリティッシュ・コロンビア州ヴァーノンの小学校近くでした。これは地元メディア、CBC Newsが2013年5月10日付けで伝えたものです。
これは地元メディア、CBC Newsが2013年5月10日付けで伝えたものです。
報道によると、この事故に巻き込まれたのは、「Maverick」という名の空飛ぶ車で、その意味は「異端者」や「一匹狼」を指すものです。
着陸アプローチ中に何かしらの問題が発生し、フェンスにぶつかりながら木に衝突。操縦士と乗員は木から救出され、治療のため病院へ搬送されました。(その後、無事退院)
「空を車で飛んでて落ちた!」って病院で言ったのかな…
Maverickは、パラセールを利用して空中に浮かび、後部に取り付けられたプロペラを用いて前進する構造を持っています。実質的にはサンドバギー、パラセール、プロペラの3つが組み合わさった形で、2010年に米連邦航空局から「特殊ライトスポーツ用飛行機」として製造認可を取得しています。
Maverickの価格は94,000ドルとされ、地上での最高速度は時速約160km、空中では時速約64kmに達します。
94000ドルっていくら?
今の日本円で1300万円くらいです
えー? 高い? 安い? よくわからない…
離着陸にはそれぞれ100mの滑走路が必要となります。事故前に公開されていた映像では、Maverickを操縦し空を飛び、コーヒーを飲みに行く様子が捉えられています。
コーヒー? 駐車場あったのかな…。まさかドライブスルー?
カナダの運輸安全委員会によれば、この「空飛ぶ車」の正式名称は「I-Tech Maverick SP Powered Parachute(動力パラシュート付きI-Tech Maverick SP)」というもの。
開発したのはフロリダに拠点を置く非営利団体I-TEC(Indigenous Peoples’ Technology and Education Center:先住民の技術および教育センター)、製造はBeyond Roads社が行っています。
先住民の技術ってなんやねん…
スロバキアで「空飛ぶ車」が試験飛行中に墜落
2015年5月8日には、スロバキア西部で「空飛ぶ車」が試験飛行中に墜落する事故が発生したと、チェコの英字新聞「プラハ・ポスト」が9日に報じました。
墜落したのはスロバキアのスタートアップ、エアロモービルが開発中の「エアロモービル3.0」のプロトタイプです。
目撃者の報告によれば、機体が急降下し始めた際、パイロットは高度200m地点でパラシュートを使用して脱出しました。機体は大破しましたが、パイロットであり開発者でもあるシュテファン・クライン氏は軽傷で済みました。
エアロモービルは2010年に設立され、クライン氏が自らの「空飛ぶ車」の構想を25年前から実現化に向けて進めてきました。エアロモービル3.0は全長6m、道路を走行する際の幅は2.2mという設計になっています。飛行時には後方に折りたたまれる翼を横に広げ、その長さは8.3mにも達します。
8.3メートル! でかっ!
飛行速度は最大でも時速200kmと比較的遅いですが、時速130kmで離陸可能なので、短い滑走路でも離陸できる利点があります。また、一般のガソリンスタンドで給油可能な点も特筆すべき特長と言えます。価格は未公開です。
そんなでかい車、ガソリンスタンドに入れないって…
NASA衝突実験「予想以上に激しい墜落」
米国の宇宙機関NASAは意図的に衝突させる実験をしました。結果、一台の空飛ぶ車が「予想以上に大きな墜落」を引き起こしました。
「激しい墜落」をシミュレートするために、NASAのエンジニアたちは6つの衝突試験用ダミーを含むeVTOLダミーを高所から落下させました。
テスト機は、未来的な6人乗り全複合eVTOL機の政府参考設計でした。「リフト+クルーズ」モデルでした。
リフトクルー…? なにそれ?
垂直に離陸し、通常の飛行機のように滑空するモデルです
機体は、バージニア州ハンプトンのNASAラングレー研究センター内の着陸および衝撃研究(LandIR)施設で最初に空中に持ち上げられました。その後、切り離され落下させられたのですが、コンピューター予測を上回る「全面的な崩壊」を引き起こしました。
テストコックピットベースと子供用シートは正常に機能していましたが、天井構造は崩壊しました。コックピット上部の飛行メカニクスシミュレーションの重さが、乗客エリアを押し潰しているように見えました。
こわー。やっぱり空飛ぶ車、乗りたくない
NASAは今後も落下テストを続ける予定です
空飛ぶ車のメリット・デメリット
とはいえ、空飛ぶ車にはメリットも多く、開発には夢と可能性があります。整理すると以下のメリット、そしてデメリットがあります。
メリット
交通渋滞の緩和:空飛ぶ車は航空路を利用するため、地上の渋滞から解放されます。
空間の有効利用:立体的な移動により、より効率的な空間利用が可能となります。
新たな産業機会:航空交通管理システムやメンテナンスサービスなど、新たな産業の創出が期待されます。
デメリット
安全性への懸念:落下事故や衝突リスクなど、安全上の問題が課題となります。
騒音問題:エンジンの騒音による騒音汚染が懸念されます。
規制とインフラ整備:航空交通規制や離着陸場所の整備が必要であり、時間とコストの課題となります。
まとめ
空飛ぶ車は交通問題解決の新たな手段として期待されますが、多くの課題を抱えています。
安全性向上や環境配慮、規制整備に取り組むことが重要です。専門家の連携と技術開発が必要です。空飛ぶ車は将来の移動手段の可能性を秘めていますが、課題解決にはまだ課題があります。
カナダの事故から十余年…。大阪万博では空飛ぶ車が実用化されます。
用途は多岐にわたり、エアタクシー、物資の配送、観光目的の遊覧飛行、災害時の対応など、これらの新たな移動手段によって便利で効率的になることでしょう。これらの開発が示すのは、未来の交通は、地上だけでなく、空も含めた3次元的な移動空間へと広がっていくというビジョンです。どんな世界が私たちを待っているのでしょうか。
でも、事故は心配…大阪万博、だいじょうぶ?
コメント