TBS日曜劇場「VIVANT(ヴィヴァン)」登場のバルカ共和国。架空国の話で独特の世界観を吹き込む手法はテレビ朝日「相棒」エルドビア・サルウィン・ルベルタを思い出させます。架空の共和国を比較しながら両番組を見つめてみましょう。
TBS日曜劇場「VIVANT」
このドラマは、「半沢直樹」をはじめとする数々のヒットドラマを手掛けてきた福澤克雄監督の最新作で、その壮大な物語に引き込まれること間違いありません。福澤監督は、視覚的な鮮やかさとキャラクターの深い洞察力で知られ、そのドラマはいつも視聴者に新たな視点を提供します。
豪華キャストが織りなすドラマの世界
堺雅人さんが主演を務めるこのドラマには、阿部寛さん、二階堂ふみさん、松坂桃李さん、役所広司さんといった全員主役級のキャストが揃っています。これは日曜劇場史上最も豪華な主要キャストで、それぞれが物語の中で重要な役割を果たします。そして、第1作での二宮和也さんのサプライズ出演は話題を集めました。
ものすごく豪華な役者陣ですよね
せちがらい世の中なのに、こういう景気のいいテレビドラマがつくれるんだね…
舞台は架空の国家「バルカ共和国」
この物語を特別なものにしているのが、その舞台のひとつである架空の国「バルカ共和国」(Republic of Balka)です。この国は中央アジアに位置します。北にロシア連邦、南に中華人民共和国、東にモンゴル国、西方にカザフスタン共和国があります。主人公が所属する商社の社員が巨額の誤送金事件を解決するために訪れます。この設定が、視聴者には新鮮でユニークな視覚体験を提供します。
架空の国なんだ。本当はそんな国、ないのね
バルカ共和国の経済は近年顕著な伸びを見せており(2023年2月9日時点の設定)エネルギー需要は今後も年間10%から20%程度の成長が予測されます。バルカ共和国は気候変動問題に対する方針として2032年までに発電に占める再生可能エネルギーの割合を35%まで引き上げる目標を掲げており、特にクリーンエネルギー分野を重要な柱として位置付けています。
架空ですが、大変、細かな設定がされています
主人公の働く「丸菱商事」が、そのバルカ共和国の企業であるGFL社(代表アリ・カーン/創立記念日2月9日)と10,000,000USD(約14億円)の契約をします。しかし、実際にはその0がひとつ多い100,000,000USD=1億ドル!(約140億円)の送金をバルカ国際銀行にしてしまったために大変なことになります。
14億円、払うつもりが140億円払っちゃったの!?
そうなんです。お金を取り戻さないと…
バルカ共和国は架空の国でありながら、その詳細な描写は視聴者にリアルな感覚を与え、作品の世界観を一層引き立てます。さらに、この架空の国をイメージした「スパイシーチャイかき氷」のような関連グッズやキャンペーンが展開され、作品の世界観を楽しむための一端を担っています。
第1話の概要
大手商社「丸菱商事」に勤務する乃木憂助(堺雅人)は、彼の所属部署で起こった140億円の誤送金事件の損失を取り戻すために、中央アジアの架空の国「バルカ共和国」の首都クーダンへと向かいます。
乃木はCIAの友人・サム(Martin Starr)から得た情報を手掛かりに、金の受取人であるアル=ザイール(Erkhembayar Ganbold)を探し当てます。
しかし、ザイールは追い詰められると自爆し、乃木はその爆破事件の主犯として現地警察に追われる身となります。
お金を取り戻すためにバルカ共和国に行ったんだ…
この危急な状況の中、公安刑事の野崎守(阿部寛)に救われ、さらに医師・柚木薫(二階堂ふみ)と遭遇します。彼らの助けを借りて、乃木は何とか日本大使館に逃げ込むことができます。
その後、野崎が言及する新たなテロ組織の存在と、その一員であるザイールが乃木に遺した謎の言葉「ヴィヴァン」の意味が気になるところです。
「お前がヴィヴァンか? ヴィヴァンなんだろ?」ってザイールに乃木さん、聞かれてましたね
なんて答えたの?
「おっしゃってることがわかりません」って言ってました。…っていうか、アーコさん、「VIVANT」観てないの?
どんなドラマか、よくわからないから観なかった…
テレビ朝日「相棒」に登場する架空の共和国
つづいて、テレビ朝日の人気ドラマ「相棒」シリーズに登場する一連の架空の共和国を紹介します。物語の中では、その国の存在自体がドラマに独特の色どりを与え、プロットポイントとなっています。
相棒もあんまり見ないかな…おもしろいらしいけど
エルドビア共和国(Eldovia)
まず、最初に紹介するのはエルドビア共和国です。南アメリカに位置する架空の国家です。season14 第9話にて、コロンビアの西隣の架空の三角形状の半島に位置することが判明しました。首都はマウベ(Maube)。この国は特に「劇場版」にて登場し、米軍の侵攻や反米ゲリラによる拉致事件が起きています。国の経済はコカに依存しています。
サルウィン共和国(Salween / Salwine)
東南アジアに位置する架空の国家。season7 第1〜2話に登場した地図によると、ミャンマーとバングラデシュの間に位置しています。この国は物語の中で様々な変遷を経ており、後にサルウィン共和国からサルウィン王国となります。初めは人道支援物資の横流しが問題となり、その後、反独裁クーデターが発生します。さらに、その後、腐敗した政府を民衆が倒し、君主制へ移行してサルウィン王国になる、という流れです。
ルベルタ共和国
南米に位置する架空の国家です。首都はペルグランディア。ルベルタ共和国は、主要キャラクターの一人、マルコ・イノウエの出身国です。この設定は、物語の中で重要な役割を果たします。「麻薬の入手ルート」としても名前が挙げられています。
東亜民主共和国(東国・とうこく)
東亜民主共和国は、産業スパイの行為で度々物語に絡んできています。東アジアに位置する、架空の国家(詳しい位置不明)。作中では、主に「東国」と呼ばれており、国内の地名、人名は中国風です。
架空の国家は、物語の世界観を豊かで鮮やかなものにし、視聴者に日本を舞台にしたドラマとは異なる視点を提供します。それぞれの国が抱える課題や状況は、現実の国際関係や社会問題に対する洞察を深める手助けとなることでしょう。
架空の国が出てくることで、よりドラマの世界が豊かになるなら効果的ですよね
まとめ
「VIVANT」(バルカ共和国)にしろ、「相棒」(エルドビア・サルウィン・ルベルタ・東亜民主共和国)にしろ、すでに多くの視聴者にたしかな世界観を提供しています。現実にはない国家をもとにしたストーリーは、私たちをイマジネーションの世界に連れて行くと同時に、現実社会にある出来事と連関させ、いきいきとしたドラマを作り出します。一方で必要以上に現実社会の縛りを受けずに、自由にその世界観に没頭できるという感覚を視聴者に与えます。
「VIVANT」は、豪華なキャストと興味深い舞台設定で新しいドラマとして魅力を放っています。壮大なロケには驚かされます。福澤克雄監督の巧みな演出と、魅力的なキャラクターたちの物語は、日曜夜の楽しみが増えました。
バルカ共和国から始まった新たなドラマ「VIVANT」の世界に浸ってみてはいかがでしょうか。
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